薬剤師Rasの考え

薬剤師として感じたことを書いています!

腸内環境、腸内細菌叢と薬の吸収の変化

こんばんは!

薬剤師の多くは、疑義照会したらそれで終わりなんて考えているかもしれません。

本当に考えなければならないのは、削減した薬ではなく、その他の薬が、過量投与になっていないか?という事に気を使う方がよほど大事。

今回は、薬💊の吸収と、腸内細菌叢と腸内環境との相関について見ていきたい。

パーキンソン病治療薬が腸内細菌により分解された事例。

パーキンソン病の治療薬「レボドパ」で広く知られるようになった現象です。この薬は、30年以上前から使用されている優れた飲み薬なのですが、人によって効果に大きな差があり、また同じ人でも、服用を続けるうちに効果が減ってくる例がありました。調べてみると、エンテロコッカス・フェカーリス菌とエガセラ・レンタ菌という2つの菌がレボドパを分解してしまい、薬の成分が体に吸収されていなかったのです。そこでこれらの菌による分解を抑える薬を一緒に服用することで、薬効が発揮されるようになりました。

こちらが、パーキンソン病治療薬が腸内細菌叢による分解を受け、個体差による効き目や、効果の減弱が問題になった事例です。

腸内細菌の二つの菌によるものだったという事がわかりましたので、ある意味、30年以上も使われているのに、なぜわかったのが、昔とはいえ最近なのか理解に苦しみますが…。

腸内細菌叢と腸内環境と薬の吸収の相関について

まず、腸内環境や腸内細菌叢のバランス変化に薬が影響を及ぼすことが考えられています。

https://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2016-file/release160726.pdf

これ熊本大学の発表した論文なんですけど、びっくりしました。分子薬剤学の海外雑誌にも、同様の内容が掲載されているみたいですので、関心ある方はどうぞ。

さて、内容に戻りましょうか。

まず、腸内細菌の存在割合が低い場合、正常な腸内細菌と比較すると、薬物代謝酵素の割合が低下することがわかっています。

その上、細胞内の輸送タンパク質も低下することが判明しているため、腸内環境や腸内細菌叢をいかに大切にすべきかを痛感させられる話ではないでしょうか?

単なる疑義照会だけでは足りない見ないといけない部分がある。

腸内細菌や腸内細菌叢による薬剤の吸収の変化は、実際に、投薬しないとわかりません。

そのため、薬💊を飲んでも、効きが悪いと、薬物量を増加する医師や、薬剤師の疑義照会もあるかと思います。

しかしながら、それは的外れな対応である事が多いんです。

腸内細菌叢のバランスが崩れてしまうと、それだけで薬物代謝の難易度が一気に上がる可能性があるという事を理解しないといけない。

それだけではなく、吸収以前に、腸内で、腸内細菌叢による分解もあります。

だから、いくら薬剤💊を減らせたって言われても、私は、他の薬剤💊の過剰投与は大丈夫?って心配になります。

と言うふうに、疑義照会をしても、それだけでは難しい😓と言う事を皆さんには知ってほしい!

といろいろ書いてきましたが、もっと薬剤💊を適切に使えるように、腸内細菌叢や腸内環境について勉強していきたいと思います!

ちなみに、分子薬剤学の海外雑誌の名は、Molecular Pharmaceuticsというそうです!

では!